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週刊 トモ松さんのショートショート Vol.4   『 雑草魂 』

『 雑草魂 』


私はドラフト外の練習生として球団に入団しました。
もともと目立った成績もない私はプロとして入団できただけで奇跡だと思います。
しかし若いうちはそんな謙虚な気持ちは、なかなか持てんもんです。
同期の選手たちがどんどん活躍していくのを横目に
いつまでも二軍生活の私は次第にくさっていきました。
もちろん、そんな気持ちで野球をしとるもんですから成績もパッとしません。
今年で契約切られるかもな、田舎に帰って何やるかな
そんな事ばかり考えていたある日、あるコーチにこう言われました。

「おい!お前なにかっこうつけとんじゃ!
  もともと雑草のお前に失うもんなどなんにもないがな!
   雑草なら雑草らしく雑草魂みせんかいっ!」
私はハッとしました。

そうだ、俺なんかプロになれただけでも満足せにゃいかん選手なんだぞ!
失うものなどなにもない、いつつぶれてもかまわない!
とにかく全力でやれるだけやるんじゃい、俺は雑草じゃい!

ふっきれた私は人の何倍も練習しました。
まさに寝る間をおしんで野球だけに集中しました。
明日、選手生命が終わってもかまわない、限界まで体をいじめぬきました。
気持ちをきりかえてからは、成績もぐんぐんとあがっていきました。
しかしプロの世界、そう甘くはありません。
時にはコテンパンにやられもしました。
しかし私は気にしません。

俺は雑草なんだ!
刈られようが踏みつぶされそうが関係ない!
また向かっていけばいいだけだ!

そしてついに一軍で活躍できる選手になりました。
まわりはちやほやしはじめましたが私には関係ありません。
私は雑草なのです。
ほめ言葉など必要ないのです。
外野の声など気にせず、ますます野球に集中しました。

選手生命の危機となるほどの怪我もしました。
せっかくつかんだレギュラーのポジションもまた奪われました。
でも私はもうくさりません。
私は雑草なのです。
倒されたらまた起き上ればいい
刈られても根っこさえくさらなければ、またいつでも復活できるんだ と。

私リハビリに励み、怪我と関係ない部分を鍛えに鍛えました。
そしてもう一度レギュラーの座をつかみ取ったのです。

私はこの雑草魂にささえられ選手生活をまっとうすることができました。
引退してもこの魂をわすれずに生きていきたいと思います。
ご清聴、ありがとうございました!



ホテルのシャワーを浴びながら私は思った。
今日の講演も大成功だった。
明日は九州か、ほんとに休む暇なく日本全国飛び回ってる感じだ。
雑草魂で頑張ったおかげで、こうして引退後も講演で飯を食っていける。
雑草の神様に感謝しなければな。


「ええっ!」

シャワー室からでた私は言葉を失った…
ベッドの上に変なのがいる…
私はオカルトは信じないが自分の目で見たものは信じねばなるまい。
それはあきらかにこの世のものではないものだ。

全身緑色で体のあちこちに雑草がはえていて頭のてっぺんには貧乏くさい花。
こ汚いモリゾーみたいなのがベッドの上に寝っころがってテレビを見ているのだ。
しかも私が風呂上りに楽しみにしていたビールを全部飲んでやがる。

「おい! な、なんだ君は?」

「な、なんだ君はってか! あたしかい? あたしゃ神様だよ!」

「神様って… いったいなんの神さまで?」

「ばかたれい! お前がさっき感謝していた雑草の神様じゃろが!
  レディー・ガガでもここまで草、体にくっつけんわい!」

「はぁ…」

「まあ良いわ、確かにいきなり神様といわれても信じれんじゃろーがの」

「ですよね、でもあれですか?
  私が雑草魂を広めてるので雑草の神様がご褒美をくれにきたとかですかね?」

「それがさー、神様、困ってんのよ」

「え?」

「あのさー、なんか君、雑草はすごいとか頑張り屋だ みたいな事ひろめちゃってるけどさー」

「はい、がんばらさせてもらってます!」

「いやいや、そうじゃないのよ
  雑草ってのはさー、何にも努力しなくてもどんどん増えていけんのよ
   それだけもとから丈夫にできてんの、これ天性のものなのよ」

「はぁ…」

「そんで仕事もしないで種まき散らかしてるわけよ、子供がんがん増えてくわけよ
  まー、人間でいえばヒモってやつだわさ」

「そんな…」

「どっちかっていうと我々、生まれもった才能だけで生き残ってるわけよ
  才能のない君と一緒にされてもねぇ、プゲラ
   というわけで全国の雑草から君に対する苦情がすごいんだわ」

「まじっすか… いやしかし私は踏まれても刈られても再び立ち上がるその姿に」

「いや、だからね
  踏まれるのは気持ち良いし、刈られるのもほれ、君も床屋で頭刈ったらすっきりするじゃろ?」

「はい… いやでも除草剤にも負けず」

「除草剤ね、最近のあれは結構きついわ」

「でしょ?」

「でも除草剤も永遠にきくわけじゃないから
  効き目はどんどん薄れていくしのぉ」

「…」

「まー雨降ったら雨宿りして雨やむのまつじゃろ? 除草剤がきてもそんな感じ」

「うわー、平常運転っすか」

「わかったかえ? われわれ気楽に楽しく人生を謳歌してるんじゃから
  君みたいな暑苦しいのと一緒にせんといてくれ」

「はい、なんかすいません…
  でもあれですよね、温室育ちのバラなんかよりは努力してるわけですよね」

「ばかたれい!
  この野球バカめ! あいつらのがんばり具合をしらんのか!」

「ひっ!」

「あいつらは蒸し暑い温室に閉じ込められるは、
  化学肥料とかクソまずいもんをむりやり食わせられるわ」

「…」

「ちょっとでも出来が悪いとあっというまに間引かれるは
  せっかくできたつぼみも他のをおおきくするためにがんがんつみとられるわ」

「…」

「そんな厳しい環境の中で綺麗な花を咲かせるため死ぬほど努力しとるんじゃぞ」

「そうかぁ… そうだったかぁ…」

「どっちかっていうとあれじゃぞ
  努力して努力して花をさかせた君は、雑草よりずっとバラに近いぞな」

「なるほど…」

「とにかくあれじゃ、今後、雑草の事を誤解させるのはやめてくれ
  これ以上まちがった雑草魂をひろめるようなら寝てるうちにわきの下に
   雑草の種うめこんじゃるぞ」

「やめてくださいよ~」




「私は温室のバラ! この花は私です!やっと綺麗に咲いたのです!」


講演会場はざわつきはじめた。

「おい、雑草魂じゃねーのか? つーかそれ桜田順子だろが!」

「おっさん、頭わいとんのか? お前がバラなわけなかろうもん!」

「ちょっと売れるとすぐ方向性見失う人ってけっこういるよね」

「みなさん! 聞いてください! 私はバラ!温室育ちのバラなのです!」

「あーあ、ダメだこりゃ、帰ろ、帰ろ」

「ちょっとみなさん、聞いてください! 最後まで聞いてください!
  あー帰らないでー!」





見た目がきれいなのはきれいになる努力をしてるからともいえる
何事も見た目で判断してはいけないのね

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青森県八戸市 在住

盗んだバイクで走り出した15の夜
(姉の原チャリ ヤマハ・キュート)

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