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週刊 トモ松さんのショートショート Vol.5   『 国民的アイドル 』

『 国民的アイドル 』

「うわ、やっべー」

今日の総選挙の中間発表、順位は中の下くらい
このままじゃ選抜メンバーとか全然むりだわ…

私は一応、国民的アイドルグループのメンバーなんだけどね
いまいちパッとしないのよ…
キモオタ、いやファン以外の一般人には名前もぜんぜん知られてないしね…

グループにはいったころは、いつかセンターになってやるなんて思ってたんだけど
もうこの中の下ぐらいのポジションでずっと安定しちゃってるのよ
ただね、ルックスも歌もいま上位にいるメンバー達とそんなに差があるとは思わないの
なんか、きっかけさえあれば…

とか毎回思いつつ、いつもこの順位
このまま鳴かず飛ばずで終わっちゃうのかしら、ジャンケンも弱いし…
神頼みしてもダメだし、もう悪魔にでも頼むしかないのかな…
「よんだか?」

「え? 今なんか声がしたんですけど」

「おまえ おれ よんだか?」

ちょっと、何、今の声… 
私アイドルですから恋愛禁止なんですけど…
部屋から男の声が聞こえてた なんて噂になったら大変よ。

「こっちみろ」

「ん?」

あらら、机の上に悪魔?

っていっても、ほんとに小さなぬいぐるみのような悪魔くん。
机の上の他のぬいぐるみと同化しててまったく気づかなかったっていうね。
なんかほんとにドラクエのキャラみたないな悪魔だわ。

「きみ、悪魔?」

「うん、みっつだ」

「みっつって? 三歳?」

「ちがうー ねがいごと みっつまで」

「あー、悪魔と契約するってやつね、でも魂とられちゃうんでしょ?
  悪いけど遠慮しとく、死んだらアイドルできないしね」

「しなない」

「え? そうなの?」

「ねがい かなう しぬ じゃない 
  しんだとき たましい おれのものになる それだけ」

「そうなんだ? まー死んでからの事なんて死んでから考えればいいっか
  ねえ、総選挙で1位になれる?」

「なんでもできる みっつまで けいやくするか?」

「うん、どうせこのままじゃ何にも変わらないし」

「はんこ おせ」

悪魔くんがだしてきた古びた一枚の紙、これが契約書か
何語だかさっぱりわからないグニャグニャした言葉がびっしり書かれてる
お父さんに判子を押す前に、契約書は必ず良く読めっていわれてたけど…
こりゃ読めんわ、ま、いっか!

「判子ってシャチハタでもいいの? って、痛っー!」

このバカ悪魔、いきなり持ってた槍みたいのを私の指にぶっ刺しやがった。
そんでむりやり契約書に押し付けた

「けいやく かんりょう」

いってーなー! ふざけんなっ!



っていう夢をみたようです。
パソコンの前で寝落ちしたみたいです。
不思議なのは悪魔に刺された場所と同じところに血の出てたあとがあったことですけど
なんかの偶然でしょ。

今日は恒例の握手会。
総選挙の順位を上げるためには、ここが重要。
とは言いますけどね…
結局はテレビや雑誌に事務所がどれだけプッシュできるかで決まると思うんですよ。
握手会ほんとに嫌で憂鬱なんだけど、まーやるか、一応仕事だし。

もうほとんど流れ作業…
でも馴れればそれほど苦痛でもないか。
アイドルやめたら流れ作業の缶詰工場でもいこうかしら…

あれ? ちょっと目つきがおかしいのが来たんだけど
げっ! この変な男の肩にのってるやつ… 昨日の悪魔じゃね!

悪魔がこっちをみてニヤッとした瞬間、その男は奇声をあげて暴れはじめた。
悪魔は肩の上であいかわらずニヤニヤしたまま。
そのうち男はついにポケットから大きな刃物をとりだした!
うわ! 刃物でかっ! お前は、金萬福か!
とかどうでも良い事を思ってるうちに、私、意識を失ったみたい。





目が覚めたらなぜか病院のベッドの上。
ベッドのまわりはメンバーやら事務所の社長やらとにかく人がいっぱいで
泣いたり、笑ったりでもうカオス。

話はこうだった。
私は、刃物男から他のメンバーをかばい負傷。
負傷しながらも、その男を前蹴りでふっとばしメンバーを逃がしつつ
しつこく追いかけてくる男を背負い投げの後、袈裟固めで押さえつけたらしい。
すげーな、私!





「私たちは これからも 前をみて進んでいきますっ!
  私たちは 負けましぇんっ!」

やべ、最後、声裏がえっちゃったよ
それに 負けましぇんっ! ってなんだよ 武田鉄也かよ

あ、どーも
あの事件以来、なんか私どんどん人気でちゃってね、テヘペロ!
怪我も大出血したわりには、奇跡的にたいしたことなくて一週間で退院。
事件からの復活のアイコンとして、負けない宣言するセンターなのよ。

総選挙も1位、強くてかわいい つよかわ系なんて言われちゃって。
まー1位になったのは、いつも上位だった子たちが事件で怖くなって
グループやめちゃったせいもあるんだけど…
それはそうと、きっかけさえあればこんなもんなのよ、世の中なんて。


「ふたつめのねがい なんだ?」

「げっ! 悪魔!」

「ふたつめ」

「二つめって事は… やっぱり今の状況ってあなたの仕業なの?」

「あたりまえ」

「そりゃそうよね~、男投げ飛ばしたり私ができるわけないもんね~」

まーここまできたら行くとこまで行くしかないつーの。
2つ目の願いね。
そーだなー、今の人気ってやっぱり事件の同情票みたいのが結構あるのよね~
ここで人気を確立しとかないとやばいわ、私、これといって特技ないし。
でも、もともとそんな特技があれば、悪魔なんかに頼まなくても人気でたんだろうけどさ

「なんか特技がほしいわね」

「にんげんぽんぷか?」

「そうそう、特技と言えばやっぱり人間ポンプ ってそんなのいらんわ、ボケ」

やっぱあれよ、あれ トーク力よトーク力。
可愛いだけじゃだめなの、バラエティ番組でひな段芸人とからめるようじゃなきゃ。
これからはバラエティなのよ!

「2つ目の願いはバラエティ番組で通用するトーク力よ!」

「とーくりょく?」

「ようは面白い話ができるようにしてちょうだいってこと!」

「はなし おもしろくする」

「あ、ちょっと待って
  面白いだけじゃなくてね、最近はちょっと毒を吐けなきゃだめなのよ」

「はなしおもしろく ちょっとどくはく いいか?」

「ラジャー!」






「ちっ!あのクソ悪魔めー!」

「よんだか?」

「呼んだかじゃねーわ、このすっとこどっこい!」

「どした」

「てめぇーなぁ、確かに話は面白くなったわ、番組でもドッカン、ドッカンうけとるわ
  レギュラーもガンガンふえとるわ!」

「よかったな」

「あーそこは良いよ、そこはな!
  ただな、面白いこと言った後、口からピュッと出るこの緑のやつはなんなんだ?」

「どく」

「ばかたれい! ほんとに口から毒吐いてどうすんじゃ! わしゃ捕まったハブか?」

「おまえ いった どくをはく」

「そーゆー意味じゃねーよ!ちょっと辛口の事を言えるようにしろってことじゃい!」

「どくのあじ ちょっと からくち」

「しっとるわい! 刺身食う時ちょうどいいからな!」

「よかったな」

「そうそう、これでわさびいらず って、いいわけねーだろ!」
  今日メンバーと一緒に楽屋で弁当食ってたら、飛んだ毒が弁当にかかって
  何人も救急車で運ばれていったわい!
  毒入り弁当事件でまた大騒ぎになっとるわい!」

「どんまい」

「どんまいじゃねーよ!警察は毒を入れた犯人として完全に私に目ーつけてんだよ!
  このままじゃ捕まるのも時間の問題だよ!」

「わざとじゃないだろ」

「わざとじゃなくてもそんなのばれたら終わりだろ!
  どこの世界に口から猛毒だすアイドルがいんだよ!」

「やるか? みっつめ」

「やらいでか! このままじゃ逮捕なんだからな!
  いやでもな~、こいつに難しい注文してもダメだしな~」

「だいじょぶだ~♪」

「うっせーよ、もうあれだ! 単純に日本中の人間が私に夢中になるようにしろ!
  いや、最後の願いなんだから世界中だ、世界中の人間が私に夢中になるようにしろ!」

「せかいじゅうのにんげん おまえにむちゅう いいか?」

「おう、さっさとしろや!」






緊急ニュースです。
本日フィジー共和国が我が国に宣戦布告をおこないました。
これで我が国に宣戦布告を行った国は、計190ヶ国となります。
しかし我が国は徹底抗戦をつらぬきます。
彼女は国民的アイドルなのです。
他国から彼女を守るため、我々国民は最後の最後まで戦い抜きます。


「ご安心ください。ここは地下数百メートルにある核シェルターです。
  備蓄されている水、食料も十年以上余裕でもちます。
  かりに核戦争がおこっても平気です。
  我々国民は全力で戦いあなたを守りぬきます。
  安心してここで我が国が戦争に勝つのを待っていてください。」

「はい…」




「おいおい、すげー事になったな!」

「悪魔…」

「世界中がお前を取り合ってるんだ、アイドル冥利につきるってもんだろ」

「ふざけないで! つーかあんた普通にしゃべれるじゃん」

「しゃべれない なんて言ったことはないぜ、ぐへへ」

「じゃーその外見も嘘なの?」

「俺の本当の姿かい、見せたいけど見せられないな
  普通の人間が俺を見たら恐怖で発狂するからな、死にしたくないだろ?」

「騙したの?」

「人聞きの悪いこと言うなよ、全部お前が言った通りさ、だろ?」

「なんでこんなことするの?」

「仕事さ」

「仕事?」

「お前の魂は俺と契約済み、契約者のお前が原因で死んだ人間の魂も契約上俺のもんだ」

「何それ…」

「第三次世界大戦だからなぁ、何億人死ぬんだろうなぁ
  ごっつい契約になったもんだぜ、ありがとな」

「…」

「大丈夫だよ、人類が滅亡するって事はない、ちょうど良い所で止めっからさ
  間抜けな人類がいなくなったら俺たちも失業だしな、ふふふ」

「くそ野郎!」

「くそで結構、悪魔にとっちゃ最高の褒め言葉だからな
  それより戦争が終わった後の事を考えとけよ!」

「なんで?」

「お前のせいで罪もない大量の人間が死ぬんだぜ
  どのつらさげて地上にでるつもりなんだ?ふふふ」

「…」

「ま、誰もいないこの部屋でゆっくり考えな! そんじゃーあばよ!」



私のために人がたくさん死ぬ… なによそれ…
そんなこと頼んだおぼえないわよ!
ほんとに戦争なんかおきるの…怖い、怖いし涙もとまらない…







いや、泣いてる場合じゃないんだ。
私が原因で死んだ人間の魂があいつのものになるなら
私が命を救った人間の魂の数の分だけ、あいつに捕まった魂が解放されるんじゃない。
戦争が終わったら世界中のみんなを私が絶望から救ってやる!
亡くなった人の数以上に幸せな人を私が増やしてやる!
絶対やってやる!人を幸せにするのが私の仕事なの!
私は国民的アイドルなんだから!




トモ松さんのことは嫌いでも、AKBの事は嫌いにならないでくださいっ!
AKB総選挙の盛り上がりをみると、選挙権は有料のほうが良いのではと思ったりして

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プロフィール

 トモ松

Author: トモ松
青森県八戸市 在住

盗んだバイクで走り出した15の夜
(姉の原チャリ ヤマハ・キュート)

あれからずっと走ってます。

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