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週刊 トモ松さんのショートショート Vol.6  『 死体の場所 』

『 死体の場所 』 

注意
 
 今回の話にはオチがありません。読んでモヤモヤする可能性があります。
 トモ松さんが昔から疑問に思っているお話なんで詳しい人は教えてください。




「課長、3年前に木更津でおきた失踪事件をおぼえてますか?」

「ああ、確か何の痕跡も残さず神隠しみたいにいなくなっちまった事件だろ」

「ええ、それです」

「まあ、いなくなったのはクズみたいな男だったしな
 行方不明になってまわりからあんなに喜ばれる男もめずらしかったな」

「そうなんですよ
 で、実はですね、昨日あの男を殺したという男が出頭しました」
「ほお、やっぱり殺されてたか
 で、動機は? 金か?女か? 死体はどこにあるんだ?」

「動機は金と女ですよ。で、死体の場所なんですが…」

「なんだ?」

「ちょっとややこしい事になりそうなんですよ」

「ほお?」




「被害者は、E山A児 32歳 無職
 ねっからのクズ野郎で女をだまして生計を立ててる、いわゆるヒモですな
 人間なにかしら取り柄があるもんで顔のよさと口のうまさは抜群でした
 出頭してきた男はE山と同郷の男 I田U助 同じく32歳 大手ゼネコンの現場監督
 E山と同郷とはいえ地元で面識があったわけではなく上京してから偶然知り合ったようです」

「どうせクズ男が金目当てにI田にすりよってきたんだろ?」

「そうです、偶然、居酒屋で出会って田舎が同じだという事で盛り上がったそうです
 I田は真面目な人の良い男でして収入も良い、E山はそこにつけこんでちょいちょい金をたかってたようです」

「まあ、予想通りだな」

「で、小金をたかってるうちはまだよかったんですがね
 I田には婚約者がいたんですがついにそっちにまでちょっかい出しはじめたようで」

「あーあ」

「E山というのは、他の事はからっきしですが女を口説くのだけはそうとうなもんで」
 
「I田の婚約者を寝取っちまったと」

「そうです」

「で、殺しちまったか?」

「いえいえ、I田という男は真面目な男でね
 浮気されたのも自分に悪いとこがあったからだ、って考えるような男でしてね」

「う~ん…」

「婚約者を許してやり直そうとしたらしいんですけど、
 その婚約者のほうが真面目すぎるI田にいたたまれなくなって上手くいかなかったそうです」

「良い人すぎるのもちょっとな~、で、I田とE山に距離ができたと」

「はい、それでこのへんでE山との関係を清算したほうがいいなと思ったそうです
 ちょいちょい貸してた金も100万こえたらしくてですね」

「もうどうしようもないクズだな」

「はい、で借金の返済と今後の付き合いかたについてE山と話をするため呼び出したらしいんですが」

「ばっくれたんだろ?」

「いーえ、ちゃんと来たそうですよ。しかも女連れでね」

「なんだそりゃ」

「で、連れてきたその女がなんとI田の妹」

「はあ?」

「I田にはその頃、田舎からでてきたばかりの年のはなれた妹がいましてですね
 それを知ったE山がお兄さんの親友だとか同郷だとか理由をつけて近づきまして」

「田舎からでてきたばっかりじゃなぁ…
 垢抜けた色男が兄貴の親友とか言って近づいてきたら」

「E山にとっちゃ借金チャラにしたうえ、さらにI田にたかろうって魂胆なんでしょうけどね」

「そりゃ殺したくなるわな」

「しかも帰りがけに これからもよろしく、おにいさん! って言われたそうで
 婚約者と妹食われたうえ一生たかられるんじゃたまったもんじゃないでしょ」

「殺していいんじゃない?」

「まーね、私もそう思いますけどね
 で、殺害計画を実行に移したと」

「当初は事件と事故でかなり捜査したよな
 でも何も見つからなくて結局は失踪扱いになっただろ?
 どうやって殺したんだい?」

「計画はこうです
 当時、I田は東京湾横断道路で現場監督として橋脚をつくる工事をしていました」

「橋脚ってなに?」

「橋を支えてる柱の部分ですよ」

「ふーん、それを橋脚っていうんだ」

「はい、大きな橋を支える柱ですから当然、海底に置いただけじゃ倒れてしまいます」

「ふむ」

「で、その柱が倒れたり沈んだりしないように海底に柱を支える杭を打ち込むんだそうです」

「杭? 木の?」

「木じゃ無理ですよ、鉄でできた鋼管杭です。直径は1m 長さは30m」

「巨大な鉄パイプみたいなもんか?」

「そうですね、その杭と橋脚を連結させて橋脚を支持するわけです
 杭を打ち込んだ後、鋼管の中にはコンクリートを流し込みさらに丈夫にします」

1img_str5_1_01.jpg1100614-05.jpg


「それは凄いねえ」

「そうですね、で、その杭の中にE山の死体を落として生コンを打ち込んだそうです」

「ほえ?」

「I田はE山を呼び出した
  今話題の東京湾横断道路の工事現場を見せてあげるよってね」

「そいつ、橋なんか興味ねえだろ」

「ええ、最初は工事現場なんか見たくねえよって言ってたらしいですが
 今話題になってるらしくて飲み屋の女の子によく現場の事を聞かれるよ
 って言ったら ぜひ見たい と」

「どうしようもないバカだなぁ」

「I田は一般の人を現場に連れ込んだのがばれると会社をクビにされるんで
 この事は絶対、誰にも言わないよう念を押してたそうです」

「それでE山の当日の行動は誰も知らなかったのか」

「小型船に乗って東京湾の真ん中まで行ってE山をスパナで殴り殺し、
 その後死体と凶器を鋼管杭のなかに投下
 何も知らない現場では翌日、上から生コンを打ち込んだ」

「絶対、みつかんねーな、それじゃ」

「はい、海の底のさらに30m地下にあるわけですからね、探しようがない」

「完全犯罪だろ、なんで今頃出頭してきたんだ?」

「はい、やっぱり根が真面目なんで良心の呵責に耐えられなくなったそうです
 で、原因となった妹も今年よいとこの息子さんと結婚が決まったそうで何の心配もなくなったと」

「真面目だのぉ」

「で、問題は死体です」

「死体が無けりゃーな、自白だけでは殺人罪で起訴できんからな、って、ありゃ?」

「そうです、死体がとんでもない場所にあると」

「状況証拠は? E山は船の上で殺されたんだろ?
 船に血液反応やDNAが残ってないのか?」

「使った船は廃船になっていてすでに解体されてスクラップでした」

「って言うことは?」

「証拠は死体だけです」

「なあ、現実的にその死体を確保する事はできるのかい?」

「I田によると現在の土木技術なら大概の事はできるそうです
 ただ、今使用している東京湾横断道路を通行止めにするのはまず無理
 となると迂回路となる仮の橋と道路を新たに造り、いまある橋脚を解体し海底30mまで
 掘削して 死体を掘り起こす事になる」

「とんでもない金と時間がかかりそうだな」

「はっきりはいえませんが、数千億規模の金と十年単位の時間がかかるそうです」

「くずの死体に数千億か? もう聞かなかった事にしようぜ
 I田、家にかえせや」

「ほんとにそうしたい所なんですがね、本人はどうしても罪を償いたいと」

「うーん、どうしよ…」


殺人罪は死体がないと立件が難しい
なぜなら死体がないと殺された人がどっかで生きてる可能性があるから
死んでいる事を証明できる証拠がないとダメって事なのね

その死体を見つけるためにもの凄いお金がかかるとしたら?
一般の交通に大打撃をあたえるとしたら?
お金は誰が出すの?
それともそこまではやらないの?
じゃあ、犯人は無罪になるの?
誰か教えてよねん!

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Author: トモ松
青森県八戸市 在住

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あれからずっと走ってます。

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